古本屋台

仕事帰りに、ちくさ正文館をのぞく。『古本屋台』という漫画を買ってしまった。

集英社発売で、「Q.B.B」作:久住昌之、画:久住卓也の兄弟ユニットで製作。この漫画の存在は知っていたが、単行本があるとは。4月10日が初版だから、まだ出たばかり。古本を屋台で売るという発想が奇抜、酒も白波を1杯だけ100円で売る。「なんじゃ、それ」であるが、古本マニアと酒飲みにはたまらない雰囲気で、のめりこんでしまうマニアックなコミックである。熱はだいぶ冷めたが、今だに古本も酒も好き。

 

田楽の串の無骨を舐めにけり

 

井上弘美の句。

康成忌

16日は川端康成の命日「康成忌」だった。今、川端康成を読む人はいるのだろうか。川端康成どころか弟子の三島由紀夫も、もう読む人は少なくなっている。もはや文学そのものが世界の片隅に追いやられてしまった。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」小説『雪国』の出だしである。昭和47年、康成はガス自殺により逝去。


花は葉に季(とき)を譲りぬ康成忌


松本昌之の句。

山滴る

俳句の季語で、四季を「山笑ふ」「山滴る」「山粧ふ」「山眠る」と区分けしているが、春の終わりから初夏にかけては「山滴る」が、正にぴったり。噴き出した新芽の緑が目に鮮やか。山は緑のモザイク模様。
心浮き立つ景色が山あるかぎり広がる。この素晴らしい時間も短い。


絵巻物拡げゆく如春の山


星野立子の句。

比嘉大悟、TKO 負け

WBC世界フライ級でチャンピオンの比嘉大悟は、減量を失敗し、王者を剥奪された。15日世界戦は実施されたが、比嘉のTKO 負け。連続勝利記録も途絶え、比嘉は全てを失い、永遠に残る日本人初の世界戦減量失敗ボクサーの汚名を背負うことになった。比嘉陣営に勝者の驕りはなかったのか。具志堅会長の管理責任は重い。


ラガーらのそのかち歌のみぢかけれ


横山白虹の句。

春雨

「春雨」は、「しめやかに小止みなく降る春の雨」と歳時記に書かれている。

本日は雨模様。朝早く結婚式に出席するため帰省した長女を駅に送り、区長の仕事の回覧板を各班に配布して歩く。

 

部屋の窓から山桜が全面に見える。そろそろ花も散りはじめた。その下には楓の若葉が噴くように繁っている。我が家の庭も、椿、ハナミズキ、馬酔木の花はまだ咲いてをり、柿若葉が目に鮮やか。田舎暮らしの醍醐味というべきか。

 

春雨のあがるともなき明るさに

 

星野立子の句。

寝室の窓から

朝の5時台、もう充分明るい。カーテンを開ける。
寝室は北側にあり、ベッドの横はすぐに窓ガラス。
ベッドに横になりながら、屏風山を遠望し、空を眺めているのが好き。きょうは雲が出ており、雲の下に薄いピンクがかかっている。太陽が山の端を越したのか、雲の白さが耀きをます。と思えば、水分を含んだ黒っぽい雲が流れていく。雲が切れて青空が顔をだす。途切れすに鳥の鳴く声が聞こえる。
なんでもない、ありふれた日が始まる。土曜日だが今日は仕事、起きるとしますか。


便所より青空見えて啄木忌


寺山修司の句。

「半分、青い」

NHKの朝の連続テレビ小説は「半分、青い」、私の住む岐阜県東部地域が舞台になっている。ドラマでは、架空の東美濃市という設定だか、恵那市岩村町をメインに、瑞浪市でも数ヵ所でロケがあったらしい。「やってまった」とか東濃弁がとびかうのは楽しい。脚本は北川悦吏子、主演は永野芽郁星野源がテーマ曲を作った。地元民として応援してます。


ものの芽のほぐるる先の光りをり


深見けん二の句。