内田百閒

蔵書の整理をしている。かつて文庫本コレクターであったが、3万5千冊集めてそれ以上は記録をしていない。内田百閒はコレクターアイテムで、旺文社文庫、福武文庫、ちくま文庫と完全蒐集した。旺文社文庫の『百鬼園俳句帖』を引き抜き、読んでみる。俳句は明治人の俳句だなあと思う。句の雰囲気が今となっては古色を帯びている。百閒よりも荷風の方が私の趣味に合う。

 

この宵の俳三昧の火鉢かな

 

百鬼園俳句帖』より。

千畳敷カール

 本日は晴天、雲一つなき青空が広がる。吟行を兼ねて一人ドライブ。長野県駒ケ根市へ行き、駒ケ岳ロープウエーに乗車。標高2612mの日本一高いところにある千畳敷駅へ。千畳敷カールの遊歩道を1周して、乗り場のレストランで昼食、遠く富士山を見ながら食べるソフトクリームの美味なこと。今日は天気がいいので、下界の街並みも南アルプスの山脈もきれいに見えて、これ以上ない眺望を堪能。14時下山のロープウエーは60人の定員満員で、私の後ろで乗船ストップ。最後までラッキーでした。


遠山に日の当りたる枯野かな


高浜虚子の句。

 

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メメント・モリ

老人保健施設にいる母を訪問。近所の葬儀の連絡と幼馴染の喪中はがきを渡す。ご近所の訃報は母の一歳下、幼馴染は同年。母は8人兄弟で今や母が1人残るのみ。父も8人兄弟で今は4人残っているだけ。近親者が亡くなって自分が残されていくという気持ちは、当事者でないと分からないだろう。やがては、自分もそうなる、老いていくとはそうした哀しみも受け入れていくことなのかもしれない。

 

山眠るみな紋付の遺影たち

 

上野一孝の句。

 

無呼吸症候群

高丘クリニックで月1回の診療。前回の検査入院の結果を聞く。

最も悪いランクに位置してますと宣告を受ける。CPAP療法はやらないと心臓の負担が大きいので、また不整脈になる可能性があるとのこと。それは回避したいので、CPAP療法を続けるとしますか。

 

霧の道現れ来るを行くばかり

 

松本たかしの句。

『銀の匙』再開

銀の匙』と言っても、中勘助の小説ではない。中勘助といっても知らない人の方が多いか。

荒川弘の農業高校を舞台にした漫画『銀の匙 Silver Spoon』の連載が、『週刊少年サンデー』で約1年5ヶ月ぶりに再開された。「最終章」に突入することになり、残り4話で完結となる。この漫画、いきなり中断となり、再開したかと思ったら又休載、もう読めないかと思っていたが、きちんと完結するとのこと。嬉しいけれど、さびしいという複雑な気持ちである。

 

牛の目にとほく牛ゐて牧閉す

 

鈴木牛後『にれかめる』の句。

 

 

 

秋の代表的な植物といえば、やっぱり芒(ススキ)であろう。背も高いし、白い穂先が風に揺れるさまは、秋の物寂しさとマッチして風情がある。ススキはどこにでも生えていて、日本人で知らないという人はいないだろう。

 

夕闇を静まりかへるすすきかな

 

加藤暁台の句。

箸置くやうに

昨日は、葬儀に参列。近所の同年の父親85歳、テレビを見た後に、寝室で倒れてそのまま亡くなった。ある意味羨ましい死に方である。その日家に来たハガキは、元いた会社の先輩で母の幼なじみの人が亡くなったとある。まるで知らなかったが、寿命を全うされたというものの、淋しい限り。


死ぬときは箸置くやうに草の花


小川軽舟の句。