川崎展宏『葛の葉』の決意表明

川崎展宏の処女句集『葛の葉』は、昭和48年に刊行。序にかえて巻頭に

「をみなへしといへばこころやさしくなる」

の句を掲げ、昭和38年から47年まで18年間の作品302句が収録されている。この句集の跋文で、俳句に対する決意表明をしている。

「俳句は遊びだと思っている。余技という意味ではない。いってみれば、その他一切は余技である。遊びだから息苦しい作品はいけない。難しいことだ。巧拙は才能のいたすところ、もはやどうにもならぬものと観念するようになった。」

川崎展宏は、加藤楸邨に師事した。遊びという言い方は「寒雷」の「遊びではない」という真面目さに対する反発心と川崎は述べているが、どうしてどうして真面目な川崎さんでした。


川崎展宏の一番有名な句は

「「大和」よりヨモツヒラサカスミレサク」

だと思うが、個人的に好きなのは

「炎天に打つて出るべく茶漬飯」

「冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ」


「葛の葉」以降、遊びの道を邁進。生涯に句集6冊2356句を残した。最後の句は

「薺打つ初めと終りのありがとう」