処女作と第一句集『萩原』

俳句界の長老、金子兜太の俳句処女作は

「白梅や老子無心の旅に住む」

すごいね、いきなりこんな俳句は作れません。わたしの処女作は、中学一年生の時に作った

「夕焼けに顔をてらして母を待つ」

という句で、当時学研が出していた学習雑誌『中一コース』に投稿して掲載されました。1971年でした。自作に間違いないかと確認の手紙がきたのを覚えています。でも俳句を作ったのは、それっきり。

2012年正月に携帯電話からスマートフォンに切り替えたのを契機に、通勤時間を利用して俳句を作り始めました。
他人に評価してもらった最初の俳句が、

「山々が第九を歌う五月かな」

元同僚だから、お愛想なんだけど「春の木々の声が歌が聴こえてきそうです」のコメントは、俳句素人を喜ばすには十分でありました。

3年間は修行期間と自ら決めたものの、素人に怖いもの無し。2013年9月、会社退職の記念に書き溜めた360句で句集『萩原』を自費出版、50部制作して家族、友人、知人に配布しました。句集名の『萩原』は、生活の本拠地であり出生地である現住所名です。

句集の俳句から、雑誌に掲載された2句を紹介。

「大水車氷柱持ち上げ回りけり」
(「俳句αあるふぁ」2013年6・7月号、黒田杏子選、佳作)

「用済みのカイロ冷たく固まれり」
(「俳句」2013年6月号、伊藤敬子選、佳作)