中村汀女の「たんぽぽ」と「春の月」

詩歌アンソロジーを読むのは楽しい。俳句は短いから、次から次へと読めるんだな。大岡信の『折々のうた』シリーズも全部読みました、俳句だけですが。
今は出たばかりの長谷川櫂著『四季のうた―詩歌の花束』(中公新書)を読んでます。中村汀女の句

「たんぽぽや日はいつまでも大空に」

が鑑賞されている。長谷川は中7下5で春の日永を表現していて、上5のたんぽぽの季語で、子どもの頃にみた景色が出現すると解く。そうかなあ。子どもの視点など持ち出さなくても、たんぽぽのやさしい黄色、暖かな日の光、ひろがる青空。夢や希望へ思いをはせ、すばらしいこの時よ続けと願う気持ちを素直に感じればいいと思うのですが、どうでしょう。

汀女の句では、あまりにも有名ですが

「外にも出よ触るるばかりに春の月」

が一番好きだ。夜空に滲んだように美しい月が出ているよ、みんな外に出て見てごらん。艶なる春の一夜の景色。はずむような句の調べが絶妙。


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