神野沙希 『光まみれの蜂』

神野沙希、期待される若手の女性俳人である。
彼女の句集『光まみれの蜂』(2012年、角川書店)の冒頭の句は、

「起立礼着席青葉風過ぎた」

授業開始の「起立礼着席」の言葉と青葉の取り合わせ。学校生活の風景を上手く切り取った。

「さみしいといい私を蔦にせよ」

高校生の時の作品らしい。「私を蔦にせよ」このフレーズがいいね。命令形で作者の積極的で率直な感情が伝わってくる。

「ここもまた誰かの故郷氷水」

本当にそうだ。どんな田舎も、ごみごみした町も、誰かの故郷である。お盆の時期は、多くの人が故郷へ帰省する。夏の季語「氷水」がよくきいている。

神野沙希は、1983年愛媛県生まれ。俳句甲子園を契機に句作を開始。2002年第一回芝不器男俳句新人賞坪内稔典奨励賞を授賞。高柳克弘と結婚。現在、NHK俳句の選者として活躍中である。

K女史より選句メール来る。そろそろ集計作業に取り掛かろうかな。