坪内稔典「甘納豆のうふふふふ」

坪内稔典の名前を知ったのは、『俳句のユーモア』(岩波現代文庫)を読んでから。

その本で出合ったのが、次の句。

「三月の甘納豆のうふふふふ」

なんだこりゃ?である。今まで読んだことのない俳句である。未知との遭遇。だけど、いいねえこの俳句。斬新で楽しいじゃないですか。谷川俊太郎の現代詩を読んでるような感じです。甘納豆シリーズで1月から12月まであるが、この句がベスト。

作者の自解の文章を引こう。「三月の句で分かったことは、俳句という短い詩は、作者の思いとはかかわりなしに読まれるということです。子どもは『かわいい』、中年には『エロチック』ととる人もいる。『甘納豆』と『うふふふふ』の取り合わせが作者の思いを超えてしまう。俳句にはそんな魅力もあるのです。」

坪内稔典は、昭和19年、愛媛県生まれ。通称「ネンテンさん」。著書多数。


「春の風ルンルンけんけんあんぽんたん

「春の暮御用御用とサロンパス

「がんばるわなんて言うなよ草の花」