渥美清『赤とんぼ』
フーテンの寅さんといえば渥美清。1928年、東京生まれ。学校に弁当を持っていけない程貧しかった小学校時代。肺結核で片肺となった下積みの20代。「男はつらいよ」で国民的俳優となったが、晩年は人知れずガンと闘った。苦労人である。
45歳の時に「話の特集句会」に参加、俳号を「風天」とし、俳句を作り始める。
全223句が収録された『渥美清句集 赤とんぼ』(本阿弥書店、平成21年)で作品を読むことができる。
「赤とんぼじっとしたまま明日どうする」
句集名はこの俳句から採られた。1991年、63歳の作品。
「蓋あけたような天で九月かな」
9月の快晴の秋空がひろがる。
「お遍路が一列に行く虹の中」
1994年、66歳の作品。
「花道に降る春雨や音もなく」
1995年亡くなる1年前、付き人にガンを打ち明けた頃の作品。
1996年、渥美清は転位性肺ガンで亡くなる。
近氏から投句メールあり。早速にありがとうございました!