自解『萩原』スタート

2013年に出した第一句集『萩原』から5句ずつ、紹介していきます。全360句、最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!


【自解・萩原1】

「雪やまず無音の景色ひろがりぬ」

句集の一番最初の句。しかし一番最初に作った俳句ではない。雪が静かに降りしきる様子を、「無音の景色」で表現してみた。山里は大雪となれば、人は外出せず車も走らない。降雪の沈黙の時間が流れて行く。

「冬の日やゴジラとなりて息をはく」

怪獣映画と言えば、ゴジラである。モスラキングギドラもいたな。TVでは、ウルトラマン。まさに怪獣とともに育った世代である。冬の日、外に出れば寒さで吐く息は白い。ゴジラが口から火を吐くように、ゴジラに変身し、白い息を吐く壮快感。

「靴の底忍びこみたる寒さかな」

JRで電車通勤をしている。朝まだ明けぬ冬の駅のプラットホームは、身震いするほど寒い。電車を待つ靴の先が冷たい。あらゆるところから、寒気が攻めこんでくるのである。

シクラメン喜寿を迎えし母笑う」

喜寿の母南天の実のたわわなる」

母は昭和10年生まれ。2012年に77歳で喜寿を迎えた。父が交通事故で1992年に亡くなり、以来一人暮らしをしている。腰も曲がってしまい杖をついて歩いているが、元気なのはありがたい。お祝いの2句。