大名古屋ビルヂング
【自解・萩原15】
「秋日さす鉄塔銀に輝けり」
句集名にした萩原の地は屏風山麓にある。送電線の鉄塔が山を繋いで並び立つ。秋の日に照らされた鉄塔が銀色に光耀いた。
「秋祭一男二女の父なりし」
秋祭は秋の収穫を祝うお祭り。我が家の収穫は、一男二女。平成元年長男、平成3年長女、平成7年次女を授かる。
「ビルヂング記憶とならん後の月」
「大名古屋ビルヂング建替のため解体」の前書き。長年、名古屋駅前のシンボル的な建物だったが、老朽化と駅前再開発により取り壊された。ビルヂングの表記が、いかにもレトロだったが、もはや記憶のなかの遺物となってしまった。
「車燈つき宵闇へ猫走り去る」
ヘッドライトを点灯したら、驚いた猫があわてて走り去り、闇夜に消えた。
「秋の暮帰りなんいざ犬が待つ」
陶淵明が好き。帰去来の辞が好き。だから「帰りなんいざ」のフレーズを使ってみたかった。我が家の愛犬「チップ」は茶色のトイプードル。