鉄壁の緑の鎧
【自解・萩原18】
「ずんずんと鷄頭咲きぬ道占拠」
正岡子規に「鷄頭の十四五本もありぬべし」という有名な句があるが、鷄頭はよく見かける花だ。群生するので占拠という言葉が相応しい。
「鉄壁の緑の鎧椿の実」
庭に椿が植えてある。椿の実は皮が厚く固い。完全防御の鎧であり、鉄壁の形容詞がぴったりとくる。
「山栗や実の無き毬の集まれり」
自宅周辺の道路脇に栗の木があり、秋には栗の実を拾ったりする。栗の木の下には、実のはずれた毬が幾つもころがっている。
「せせらぎが添い寝をしたり長き夜」
自宅前を萩原川の支流の小川が流れている。秋の夜長、眠れずにいる寝室に川のせせらぎの音が聞こえる。
「灰色に山を塗り消し秋の雨」
秋の雨が降りしきる一日。空は灰色であり、地上から上がる水蒸気で山の頂は、かき消されて見えない。