飛行機雲

【自解・萩原20】

「山裾の漆紅葉の日差し濃く」

紅葉の時期、鮮やかな赤色を見せてくれるのは漆の木だ。真っ赤な葉が陽光を照り返し、そこだけ日差しが濃いように思ったりする。

「県道に狸死にたり小夜時雨」

タヌキは夜行性動物。夜にあちこち徘徊し、運のない奴は道路で自動車にはねられ命を落とす。小夜時雨は、タヌキの薄命を悼む泪雨。

「吊し柿飛行機雲は延びゆけり」

干柿は平凡な田舎の風景。柿を吊るした軒先から見える空には、飛行機雲が延びていく。一面の秋の青空。

「わが里は何事もなし萩の花」

わが里萩原は、これといった事件も起こらず、今日も平和に一日が過ぎていく。萩原と呼ばれるが、萩の花がそんなに沢山咲いている訳でもない。『奥の細道』で曽良が「ゆきゆきて倒れふすとも萩の原」と詠んだことなど思い出す。

「紅葉す衣替えたり山一つ」

紅葉の時期のドライブは爽快。山がまるごと紅葉している様は壮観。日本に四季あることのすばらしさ。