寒四郎
【自解・萩原33】
「白菜はばっさりと切られたり」
ばっさりと切られるのは、白菜だけではない。人事異動の感想の句。
「かぶさりしものがあり冬の三日月」
月の光を遮るものがあるため、月は形を変える。不安感を月に映した。
「通勤の列車の軋み寒四郎」
通勤の電車の車両が老朽化しているのか、連結部分がギイギイと軋んで悲鳴のような音をたてている。冬日の朝の寒さが一層身に沁みる。
「瞼閉じ首さし出して冬電車」
冬の朝の電車は、暖房がきいているので眠ってしまう乗客が多い。眼を閉じて寝ている身体が前倒しになり、あたかも打ち首になる人が、首をさしだしているように見える。
「大水車氷柱持ち上げ回りけり」
道の駅にある水車を見て作った。大きな水車の回る様は壮観。氷柱を持ち上げ力強く回る。