春泥

【自解・萩原39】

「花訪いの足をとどめし春驟雨」

桜を見に行くはずだったが、雨が降りだしたので行くのは中止。

「風運ぶ花びら一つ廻り落つ」

風が運んできた桜の花びらが、くるくると回転しながら地に落ちていく。

「春霞ヘッドライトの眼が覗く」

春霞ただようなか、ヘッドライトをつけた自動車がぬっと現れた。

「珈琲の苦きをすする春の泥」

苦味をしみじみ感じながら、コーヒーを飲む時もある。春泥の季語と取り合わせてみた。

「幟旗四月の風にはためける」

幟旗が春風に勢いよくはためいている。それも春の一風景。