芝桜
【自解・萩原40】
「立ち眠る娘の車輌菜畑過ぐ」
電車で立ちながら眠っている娘を見た。車窓の風景は満開の菜の花が咲く畑となり、今車輌は通過して行く。美しい季節を眠っているのは、もったいない。
「春雷や一駒進む将棋の歩」
サラリーマンは会社の将棋の駒。各々役割を果たすべく前進するしかない。春の人事異動の感想句。
「ハイヒール足真直ぐに若葉かな」
ハイヒールを履いた女性の立ち姿は、背筋が真っ直ぐに伸び美しいと思う。若葉と取り合わせて、颯爽とした美を表現したかった。
「子雀が三段跳びに駅の屋根」
雀の子が元気に飛ぶ様子。跳ね躍ると言う形容詞がピタリとあてはまる。
「芝桜静かにやさし地を包む」
桜も美しいが、地に咲く芝桜も劣らず美しい。地を包んでいくような感じが、とても好きだ。家の近所は、どの家にも芝桜が植えてあり、4月は見比べて歩くのが楽しい。