【自解・萩原41】
「ひろげゆく色の陣地や芝桜」
芝桜が、植生地域を徐々に拡げていく。まるで陣取りゲームのように。
「紅の滲みて沈む春日かな」
春の夕陽は、水分を含んで滲んだような印象の赤色。艶やかなエロスの世界が展開される。
「乗り過ごし一人春夜の無人駅」
飲み過ぎて乗り過ごしてしまった。降り立った無人駅のベンチで一人電車を待つ春の夜。
「姫女苑宙に浮かびて咲きにけり」
ヒメジオンの白い花が咲く。群生した花の波は、まるで空中に浮かんでいるかのよう。
「今ならば空さえ飛べる噴く若葉」
新緑の季節、新しい若葉は空へ飛び出しそうな、生命の活力を感じる。山全体がエネルギーの固まりとなる。