迷い犬

【自解・萩原50】

「囀りの朝を伝えて途切れなし」

朝が開けた。林に囀る鳥たちの声が、いつまでも途切れず続いている。

「地を敲く靴音返す夏こだま」

地面をたたくような靴音が、谺となって夏空に響きわたる。

「梅雨寒やリード引きずり迷い犬」

梅雨寒の朝に、リードをひきずりながら歩いている迷子の犬を見つけた。

「夏衣三千世界深緑」

世界がまとう夏の衣装の色は、深い緑。