【自解・萩原53】
「川中に白鷺立ちて睥倪す」
土岐川の洲に立った白鷺が四方を眺めて立っている、この世の番人の如く。
「竹林の狂騒梅雨の高笑い」
竹林は風に揺さぶられて猛り狂い、雨は轟音とともに地に降り注ぐ。梅雨の一日。
「入道雲脂肪の塊が数多」
入道雲が夏のそらにひろがり、地には肥え太った脂肪の塊と呼ぶべき人間の群れ。
「こちら見て殿様蛙すわり居り」
トノサマカエルがこちらを見てすわっている。じっと黙ってこちらを見ている。
「梅雨晴や雲は変化に多忙なり」
雨が止み空に灰色の雲が残った。雲は絶えずその形を変え続ける。変化は「へんげ」と読んで下さい。