2014-07-17 冬冷 【『萩原』以後(27)】 「冬冷や本日富士のよく見える」 上京する時に、新幹線の車窓から富士山が見えるかどうかは一大事。雨や曇空で富士山の姿を拝めないとなると旅の楽しみも半減してしまう。この日は富士山が、くっきりと美しい姿で眼前に現れたのだ。 「屈んでも座りこんでもなお寒し」 きりきりと寒い日がある。屈もうが座り込もうが、何をしても寒いのだ。忍耐強く待つしかない。 「待て、そして希望せよ」A・デュマの『モンテ・クリスト伯』の最終章の言葉。