虚子探訪開始

本ブログは大半が、自作の俳句を出来不出来は関係なしに「俳句帖」のタイトルに甘え記事にしてきたが、2014年分まで使い切りネタ切れ状態。1日1句に絞り込んでも、ライブ状態で書いていくのは至難の技であります。ということで、しばらくはストックづくりのために、高浜虚子の句を読んで感想を書き連ねていきます。もとより俳句鑑賞もド素人、寛大な心でお付き合いを。

 

【虚子探訪 (1) 】

俳句史における巨人、高浜虚子の俳句を勉強するべく第一句集『五百句』読破に挑戦。『五百句』はホトトギス五百号の記念に昭和11年出版された。虚子の明治、大正、昭和の句が等分に採られている。

 

最初の句から順番に読み進めていきたいと思います。明治時代の俳句です。

 

「春雨の衣桁に重し恋衣」

 

明治27年。衣桁(いこう)は衣紋掛けのこと。句集の冒頭句にしたからには、相当の思い入れがある句なのだろう。「恋衣」の詞に酔いしれたか。掛けてある着物の艶やかさ、またそれを身に纏う人の美しさを喚起する句。

 

「夕立ちやぬれて戻りて欄に寄る」

 

 明治28年。「子規を神戸病院より、須磨保養院に送りて数日滞在。」と注あり。従軍記者として勇んで出発した正岡子規が、病人として帰還した。虚子にとっても忘れられない出来事であったに違いない。