虚子探訪(61) 闘志
【虚子探訪(61)】
「先人も惜みし命二日灸」
大正2年1月19日 。大平山句会。栃木郊外大平山茶亭。
「二日灸」は陰暦2月2日と8月2日にすえる灸。この日にすえれば一年中健康で無事であるといわれる。先人たちも健康で長生きをしたいと行われてきた二日灸である。
「春風や闘志いだきて丘に立つ」
大正2年2月11日 。三田俳句会。東京芝浦。
虚子、俳壇復帰の一句。河東碧梧桐の新傾向俳句に対する闘争宣言である。句自体は芝居の舞台で主役の俳優が見得を切っているような印象だが、「春風」の季語が青春・開始・希望等を連想させ、爽やかな調べとなっている。