虚子探訪(84) 風流

【虚子探訪(84)】

 

「大蟇先に在り小蟇後(しり)へに高歩み」

 

大正6年5月8日。婦人俳句会。大蟇が後ろに小蟇を従えてノシノシと高歩きをしていくよ。人間世界のようで面白いじゃないか。

 

        嘲吏青嵐

「人間吏となるも風流胡瓜の曲るも亦」

 

大正6年5月12日。虚吼、吏青嵐、煙村、楚人冠等と小集。鶴見花月園みどり。青嵐が官吏となるのをからかい作られた句。風流と断定して、曲った胡瓜と同等とは高踏的な物言い。面白いかどうかは意見が分かれるが、完全な破調でこれを俳句というのは、ひとえに虚子の作品だからこそ。