虚子探訪(90) 鞦韆

【虚子探訪(90)】

 

「鞦韆に抱き乗せて沓に接吻す」

 

大正7年4月16日。婦人俳句会。柏木かな女居。鞦韆はブランコ、かつては貴族の遊び。ブランコに女を抱きあげて乗せ、揺らして遊ぶ。揺れる足にはいた沓の先に接吻してしまったよ、の句意。華やかな宮庭生活を想像しての句か。

 

「野を焼いて帰れば燈下母やさし」

 

大正7年?或は7年以前なるべし。野焼きをして、灯りのついた家に帰れば母は優しく迎えてくれる。すでに母は亡くなっており、子供時代を回想した、母追慕の句。