虚子探訪(96) 昼蚊

 

【虚子探訪(96)】

 

「見失ひし秋の昼蚊のあとほのか」

 

大正7年。秋の昼間、蚊に刺されておいかけたが見失ってしまった。蚊に刺された後だけがほのかに残っている。

 

「菖蒲剪るや遠く浮きたる葉一つ」

 

大正8年。婦人俳句会の連中、鎌倉に来る。はじめ邸にて。菖蒲の花を飾ろうと剪定することにしたが、菖蒲の葉が一枚だけ遠くに離れて浮いていたよ。ちょっと面白く感じたことだ。