虚子探訪(97) 蚰蜒(げじげじ)
【虚子探訪(97)】
「夏痩の頬を流れたる冠紐(かむりひも)」
大正8年。能役者であろうか、冠をかぶり、その紐は頬をたれて顎の下で結ばれている。紐はきつく縛ってあるわけではなく、ゆるりとした感じ。「流れたる」の表現に、夏痩せした顔がリアルに描写されている。
「蚰蜒(げじげじ)を打てば屑々になりにけり」
大正8年。ゲジゲジを退治するため叩いたら、死骸はばらばらになってしまった。「蚰蜒(げじげじ)」と「屑々(くずくず)」の取り合わせが面白いと思ったのだろう。