虚子探訪(99) 瓜の花

【虚子探訪(99)】

 

「傾きて太し梅雨の手水鉢」

 

大正8年。梅雨で大雨が降り、手洗い用の手水鉢が傾いてしまった。手水鉢を見ると結構厚みもあり太くて大きいものだけに、激しい雨だったことがわかる。

 

「夕鰺を妻が値ぎりて瓜の花」

 

大正8年。夕方に行商から鰺を値切ってカミさんが買っているよという句。虚子の俳句に妻が登場するのは珍しい。「瓜の花」とポンとつけて、そこはかとなく妻への愛情が感じられる。