虚子探訪(103) 傀儡師

【虚子探訪(103)】

 

「人形まだ生きて動かず傀儡師」

 

大正10年1月11日。新年婦人俳句会。かな女庵。昨年10月、軽微なる脳溢血にかゝり、病後はじめて出席したる句会。「傀儡(かいらい)師」は人形遣いのこと。病後の体調はまだ本調子ではないよとの挨拶句。

 

「雪解の雫すれすれに干蒲団」

 

大正10年。天気の良い春の日に蒲団を干している。そのすぐ側を、屋根からであろううか雪解けの雫がぽたぽたと落ちているのである。