虚子探訪(116) 返り花

【虚子探訪(116)】

 

 酒井野梅其児の手にかゝりて横死するを悼む

「弥陀の手に親子諸共(もろとも)返り花」

 

大正13年。酒井野梅の弔句。痛ましい死に方であったが、今は親子共に仏様のもとへ帰って行った。

 

「行年(ゆくとし)やかたみに留守の妻と我」

 

大正13年12月29日。同人、選者と共に。発行所に於て、会するもの。肋骨、楽堂、鼠骨、石鼎,温亭、宵曲、菫雨、野鳥、青峰、為山、たけし、花蓑、秋桜子、一水。

年末、多忙なために妻か自分かどちらかがいないのである。夫婦のすれ違い状態が続く、忙しい年末である。