虚子探訪(125) 玉子酒

【虚子探訪(125)】

 

「佇めば落葉ささやく日向かな」

 

大正14年11月。日向でたたずんでいると、地面の落葉がささやきかけてくるようだ。暖かな秋の一日。

 

「かりに著(き)る女の羽織玉子酒

 

大正15年1月。風邪をひいて玉子酒をつくろうとしているのか、もらって飲もうとしているのか。女性の羽織を借りて着ている男。こういう艶めいた情景を俳句にするのが、虚子先生は、お好きなようで。