虚子探訪(134) 冬木

【虚子探訪(134)】

 

「掃初(はきぞめ)の箒や土になれ始む」

 

大正15年12月。今年初めての掃き掃除。箒もだんだん土に慣れてきたみたいだ、

 

「大空に伸び傾ける冬木かな」

 

大正15年12月21日。東大俳句会。発行所。大地から大空へ向かい、冬となり葉の落ちた木の枝が伸びて行る。冬の厳しい季節に遥かな空へ枝を伸ばすことは生きること、傾いた姿は生きてきた証なのだ。客観と主観が混然一体となりしみじみとした味わいの句である。

 

 

以上161句で、大正時代は終了。