虚子探訪(141) 蜥蜴

【虚子探訪(141)】

 

「濃き日影ひいて遊べる蜥蜴かな」

 

昭和2年5月15日。みづほ帰朝歓迎句会。発行所。夏の日差しの中にいるトカゲ。走る時には影ができる。それを「日影ひいて」といったのである。『五百句』所収にあたり、「日蔭」から「日影」に推敲された。

 

「百官の衣更へにし奈良の朝」

 

昭和2年5月。平城京のあった奈良時代に想いを馳せた想像の句。百官が一斉に衣替えをすれば壮観なことだろう。