虚子探訪(148) 鎌倉

【虚子探訪(148)】

       鎌倉

秋天の下に浪あり墳墓あり」

 

昭和2年9月19日。子規忌句会。田端大龍寺。

鎌倉、それは太平洋の波が洗う地、悠久の歴史を刻む墳墓の地。地理的な空間軸、歴史の時間軸の中で鎌倉の地を大きく把握して句にとらえた。

 

「仲秋や月明かに人老いし」

 

昭和2年9月。仲秋の名月を見ながら、自らの老いを自覚したのである。月光に照らし出された肉体の衰えが、しみじみ感じられた夜だったのだろう。