虚子探訪(165) 柳絮

【虚子探訪(165)】

 

「旧城市柳絮とぶことしきりなり」

 

昭和4年。5月14日発、満州旅行の途につく。江川三眛東道。5月27日、遼陽に至る。

「柳絮」は、春に柳の実が熟し綿状になって飛ぶものをいう。「旧城市」は、遼陽のこと。荒れ果ててはいるが城の面影を残していた。

 

「夕立や森を出て来る馬車一つ」

 

昭和4年6月3日。1日ハルピンに至る。8日迄滞在。ハルピンでの旅吟。森と馬車の取り合わせに異国情緒を感じる。夕立のさなか、馬車は急いでどこへ行くのであろうか。