虚子探訪(173) 蜘蛛

【虚子探訪(173)】

 

「蜘蛛打つて暫心静まらず」

 

昭和5年8月1日。家庭俳句会。蜘蛛を殺そうと叩いたのだが、しばらくは平静な心に戻ることはなかった。やはり殺生戎に触れるからであろうか。

 

「もの言ひて露けき夜と覚えたり」

 

昭和5年8月26日。鎌倉俳句会。たかし庵。会話で言葉をしゃべると、本日は露を帯びたしっとりとした夜であることが感じられる。