虚子探訪(177) 蕗の薹

【虚子探訪(177)】

 

蕗の薹の舌を逃げゆくにがさかな」

 

昭和6年2月20日。家庭俳句会。発行所。蕗の薹の苦みがすっと走る。「舌を逃げゆく」という言い方が気にいったのであろう。

 

「紅梅の紅の通へる幹ならん」

 

昭和6年3月12日。七宝会。葉山、水竹居別邸。

紅梅の紅はどこから来るのだろう。幹の中を紅が移動していると想像してみる。立派な梅の幹だったのだろう。