虚子探訪(178) 土佐日記

【虚子探訪(178)】

 

「蜥蜴以下啓蟄の虫くさぐさなり」

 

昭和6年3月13日。東大俳句会。爬虫類の蜥蜴を啓蟄の虫に分類しているところに違和感あり。「くさぐさ」は、いろいろ、さまざまの意の雅語的表現。

 

土佐日記懐(ふところ)にあり散る桜」

 

昭和6年4月2日。土佐国高知に着船。国分村に紀貫之の邸址を訪ふ。満開の桜もすでに散り始めている。紀貫之を偲んで懐には読み返した『土佐日記』。往事に思いを寄せる虚子がいる。