虚子探訪(181) 飛騨の生れ

【虚子探訪(181)】

 

「草抜けばよるべなき蚊のさしにけり」

 

昭和6年6月18日。丸之内倶楽部俳句会。

草を抜いたら蚊に刺された。ねぐらを無くしてしまい、「よるべなき」境遇となった蚊の怒り。

 

「飛騨の生れ名はとうといふほととぎす」

 

昭和6年6月24日。上高地温泉ホテルにあり。小婢の名を聞けばとうといふ。

著名な俳句。なぜ下5は「ほととぎす」なのだろうか。『喜寿艶』によると「この上高地では昼も夜も時鳥が鳴いていた。」とある。ホトトギスの別名は「杜宇」という。