虚子探訪(182) 夏帽

【虚子探訪(182)】

 

「火の山の裾に夏帽振る別れ」

 

昭和6年6月24日。下山。とう等焼岳の麓まで送り来る。

別れの時は来る。何度も帽子をふり、さようならと挨拶をしたのだろう。

 

「夕影は流るる藻にも濃かりけり

 

昭和6年7月19日。武蔵野探勝会。古利根。

夏の夕べ。影が次第に濃くなっていく、流れていく藻にさえも。