虚子探訪(212) 北見富士

【虚子探訪(212)】

 

「船涼し己が煙に包まれて」

 

昭和8年。8月16日発、北海道行。あふひ、立子、友次郎、草田男、夢香、桜坡子、木国同行。8月17日、青函連絡船松前丸船中。

 青森から函館へ向かう青函連絡船での句作。蒸気船の煙は、向かい風に靡いて船体に沿うように流れ、船全体を包むかのようである。船の受ける向かい風は、涼しいばかりでなく旅への期待感を高めていく。

 

「皆降りて北見富士見る旅の秋」

 

昭和8年8月21日。るべしべ駅。此夜、阿寒湖、山浦旅館泊。

かねてより見たいと思っていた北見富士を見学。旅の一コマをスケッチのように句にした。