虚子探訪(224) 黒揚羽
【虚子探訪(224)】
「水飯に味噌を落して濁しけり」
昭和9年7月26日。丸之内倶楽部句会。
ご飯に水をかけてお茶漬けのようにして食べるのが「水飯(すいはん)」で、アクセントに味噌を添えた。当然水は濁る。食の進まぬ夏日のかきこみご飯である。
「黒揚羽花魁草にかけり来る」
昭和9年7月27日。鎌倉俳句会。稲村ケ崎、稲村居。
「花魁草」は、花の香りが花魁の白い粉の香りに似ていることから名前がついた。夏にピンク色の花が鮮やかに咲く。黒揚羽もかけるようにして寄ってきたのである。