虚子探訪(231) 葵の紋

【虚子探訪(231)】

 

「里方の葵の紋や雛の幕」

 

昭和10年3月3日。武蔵野探勝会。麻布広尾、近藤男爵邸雛祭。

近藤男爵夫人は伊予松平家から嫁いでおり、雛幕の葵の紋は徳川家の血筋をひくことを示す。

「里方」は伊予であり、虚子にとっても格別の思いがあったと思われる。

 

「一を知つて二を知らぬなり卒業す」

 

昭和10年3月12日。笹鳴会。丸ビル集会室。

先生や友人のおかげで一人前になったとして卒業の日を迎えた。しかし「二を知らぬなり」で、まだまだこれからだぞ、頑張れよというエールが句にこめられている。