虚子探訪(235) 奈良茶飯

【虚子探訪(235)】

 

「秋篠はげんげの畦に仏かな」

 

 秋篠寺は奈良時代最後の寺院で780年建立、伎芸天立像が有名。見渡す限りれんげの続く畦道、そして野仏。五月の田園風景、秋篠寺、伎芸天、すべてが秋篠であると虚子は言うのである。

 

「奈良茶飯出来るに間あり藤の花」

 

昭和10年5月1日。立子と共に大阪玉藻句会出席。奈良東大寺裏、宝厳院。

「奈良茶飯」は炊き込み御飯の一種で、少量の米に大豆や小豆,栗などの穀物や季節の野菜を加え、塩や醤油で味付けした煎茶やほうじ茶で炊き込んだもの。句はそのまま味わえばよい。