虚子探訪(242) 『五百句』ベスト20(下)

【虚子探訪(242)】 

 

昭和時代からは10句。

わだつみに物の命のくらげかな

流れ行く大根の葉の早さかな

たけかけてあたりものなき破魔矢かな

凍蝶の己が魂追うて飛ぶ

鴨の嘴よりたらたらと春の泥

顔抱いて犬が寝てをり菊の宿

玉虫の光残して飛びにけり

大いなるものが過ぎ行く野分かな

かわかわと大きくゆるく寒鴉

大空に羽子の白妙とどまれり

 

「秋風や眼中のもの皆俳句」と詠んだ虚子。

生死、美醜、時空その他、この世に存在するものすべては「俳句」。