2014角川俳句賞落選展を読む(下)

依光陽子の批評の後半部分である。

 

毛糸玉こんがらがつたままそのまま

毛糸大好き人間としては、この句はどうしても捨て置けなかった。こんがらがってそのままの状態は「毛糸」ではあるが「毛糸玉」とは決して言わない。どこの句会でも必ず聞くフレーズに「だって本当にあったんです」があるが、これは絶対にない。と文句を言うためだけに掲句を挙げたわけではない。「玉」が消化不良なだけで、「こんがらがつたままそのまま」のくどいほどの平仮名が、毛糸がこんがらがってしまったときの苛々感にピッタリだし、推敲次第では整理のつかない心持ちをモノに乗せることができるかも、と思ったからだ。

作者は俳句歴3年目(この方で二人目?)。無所属新、といったところ。結社に所属することの可否は一概には言えないが、やはり賞を狙うくらいの気持ちがあるならば句会に参加して選を受けることだ。仲良しグループやサロン的な場ではなく真摯な議論が交わされるような場。そうすれば“絶対に成功しない素材”上位にランキングされる「クレーン車」で句を作ろうなどとは思わなくなるだろう。

私の勝手なランキングである。