蜷川幸雄死す

演出家の蜷川幸雄が亡くなった。
大学時代に芝居にのめりこんだ私にとって、蜷川幸雄は、憧れ尊敬した唯一の演出家だった。夏休みバイトで金を貯め、東京の帝国劇場へ『ロミオとジュリエット』を観にいったことや、中日劇場で『元禄港歌』に感動したことを思いだす。
役者のパワーを最大限に引き出し、人間の情念を舞台にのせ、自己の美意識を世界に認めさせた。演出家の名前で観客を呼べた人。80歳の最後まで疾走した人生に合掌。


帆の遠く手をふるあなた消えゆけり