2016角川俳句賞(下)

「帰去来」残り半分25句。

 

二輪車の背中追ひかけ青嵐
昭和の日電車通過す無人駅
とりあへずはいと返事し柏餅
鯉幟もう少し泳いでいたい
小学生今何人と子供の日
突然に人現れて木下闇
春茜帰る子供へ吠える犬
披露宴の受付係胸に薔薇
春筍地面押し上げ覗きけり
夏始喉を鳴らして水素水 
一面に空敷きつめて田水引く
次々と波紋広がり水すまし

ミニ薔薇の垣根に赤き吹雪かな
太陽光パネル囲みて蛙鳴く
休耕田野菊少々草混沌
未来とは常に前方幣辛夷
青蜥蜴声出す前に消えにけり
サルビアの花赤々と苗売らる
介護車の停められてをり柿若葉
唇は冷たしラムネ玉揺れる
平らかな脈に戻りて日永かな
田楽の山椒葉少しずれている
黒ビール自分で自分褒めたき日
花虻の羽ばたきの音だけがある
若鮎の水切り進む背鰭かな