熟柿

いちまいの皮の包める熟柿かな


野見山朱鳥の句。
今にも崩れそうな熟柿を、あやうく保っている一枚の皮。「いちまいの皮の包める」とは、まさに熟柿の本情を掴んでいる、というのが山本健吉の『句歌歳時記』の評。

なんとも言えない味わいの句。命の豊かな実りと、崩壊の手前の緊張感。