天動説

天の川天動説は捨て切れず

 

「俳句αアルファ」最新号の「αアルファ俳壇」に入選した、原田隆史(大阪)さんの作品。このコーナーは4人の選者がいるのだが、大串章選・辻美奈子選で入選、青柳志解樹選・津川恵理子選で佳作と、全員がこの句を採った。まさに快挙である。

 大串章の選評は、「理論的には地動説が正しいと分かっている。しかし、太陽が東から上がり、西に沈んでいくのを見ると、天動説も捨てきれない。多くの人がこんな気持ちになるのではないか。私もその一人である。」

 辻美奈子の選評は、「自分は小さな星に乗り、回りながら天の川を眺めている。天はやはり大いなる何かの力で動かされているに違いない。そう信じてみたくなるほどの星空なのだ。」

 「天の川」の季語が、天体の広がりと星雲の美を与えている。「天動説」というような非日常の言葉ををぶつけて意外な展開となり下五の「捨て切れず」がよくきいている。この最後の未練の一言が深い味わいを残して句が完結。いやお見事。