南風集 自作(5)

 「眼中のもの皆俳句」と言ったのは虚子だが、見たものを十七文字に転換して感じたことを言葉にする難しさ。

 

蓑虫の頑なにして家を守る

落栗や先へ先へと続きけり

秋風に倒れし墓標横のまま

 

サロンパス背中に並べ秋の暮

すっぽりと毛糸帽子をかぶる人

家々を光に包み十三夜

 

葉鶏頭夕暮はすぐそこにあり

燠の火の白くなりゆく牡丹鍋

冬蝶の影を配りて漂へる

木屑入れ焚火ふたたび炎あげ