野見山朱鳥 熟柿

柿の木にたわわに柿の実がぶらさがっている。すでに、雨風に吹かれ地に落ちて転がっているものもある。


いちまいの皮の包める熟柿かな


野見山朱鳥の句である。もう中身はとろとろに熟れきっている柿の形状を保っているのは一枚の皮なのだ。少しでも皮にキズが入れば、中身はあふれだし崩壊がはじまる。熟柿の本質をとらえ、緊張感ある一句となっている。